「他人を納得させる文章」この能力がつけば一生ものです。
中学受験(受検)で求められる作文は感想文ではなく「論文(意見や理由を書く文章)」になるわけですが、残念ながら小学校では作文の書き方をきちんとおしえてはもらえません。
作文が書けるようになるためには、通信教育であったり中学受験(受検)塾で学習したりの対策をすることになるものの、作文はすぐに上達するものではありませんよね・・・(^^;)
しかし、時間が無制限にある中での訓練では意味がありませんので、本番を見据えた訓練が必要だと思いませんか?
と、思ってネットで検索をしても限られた時間の中でどうやって作文を完成させていくかの書き方を調べたのですが、全然説明記事が見当たらなかったので、記事を作ってみました。
執筆は、現役の慶応生であり大手進学塾や家庭教師として、中学受験(受検)のお子さんへ勉強をおしえている「ハル助さん」です。
是非、お子さんと一緒に読んでみて「ここがうまくできないから、重点的に訓練しよう」など日常の訓練を話し合ってみて下さいね。
作文だけでなく、記述式の問題にも役に立ちますよ^^
目次
中学受験(受検)の作文問題の出題傾向と対策
こんにちは、塾講師のハル助です。
私の所属していた学習塾では、中学受験(受検)向けに作文を教える機会が多かったです。
しかし、それを独学でやっていこうとなるとやはり不安だらけだと思います。
特に試験当日なんかは緊張してしまい、普段は書けるはずの作文も「今回はあまりいい作文が書けなかった…」なんてことになってしまうことがあります。
それでも安心してください!
試験当日の流れをしっかり把握した上で本番に望めば、必ず納得のいく作文が書けるはずです。
そこで今回は、試験当日に作文そのものの書き方から作文を書いていく手順まで、中学受験(受検)作文に関する勉強法を徹底解説していきたいと思います。
私立中学校と公立中高一貫校の作文問題の出題傾向
まずは、私立中学校と公立中高一貫校の作文問題の出題傾向を見ていきましょう。
私立中学校と公立中高一貫校では出題傾向が異なるので、当然、作文の書き方も変わっていきます。
私立中学校の作文は公立中高一貫校のものよりも出題が独特な場合が多いです。
日本には自然災害が多く、特に東日本大震災の際には多くの人々が被災し、その後の避難生活では長期間にわたってさまざまな制約が必要となりました。もし今後、同規模の災害が生じ、長期間にわたる避難生活をすることになった場合、十歳の子ども達に体験、または経験してほしいとあなたが考えることは何ですか。また、あなたが具体的にどのような工夫をすることで、それは実現できるでしょうか。百四十字以内で書きなさい。[慶應義塾湘南藤沢中等部, 2021]
上記の私立中学校の問題は、「具体的」「工夫」といった言葉からも分かるように、発想力や想像力を問う問題となっています。
そのため、解答する時も発想力や想像力を中心とした書き方を意識する必要があります。
対して、公立中高一貫校ではテーマがシンプルな場合が多いです。
この二つの文章を読んで、あなたは「言葉」についてどのようなことを考えましたか。あなたの考えを、いくつかの段落に分けて、四百字以上、五百字以内で分かりやすく書きましょう。[東京都立桜修館中等教育学校, 2021]
この公立中高一貫校の問題では、国語の問題と連結させて、文章の感想とそれに対する自分なりの意見を求めています。
このように、中学受験(受検)の作文問題と一言でいっても、学校によって出題傾向は大きく異なってくるのです。
【私立中学校】
発想力や想像力といったその学校が持つ特色や教育方針が色濃く反映された独特な作文問題が多い。
【公立中高一貫校】
自分の経験や体験、また環境問題、世界情勢といった時事的なことを問う。
私立中学校と公立中高一貫校の過去問題で対策
私立中学校であれ公立中高一貫校であれ、テーマ・文字数・制限時間は学校によって大きく異なってきます。
そのため、過去問からその学校の出題傾向を把握するということが作文問題に挑む上で最善の対策法となるでしょう。
例えば、「この学校では指定文字数は少ないがその分制限時間が短い」「あの学校では経験に基づいた作文を書かせるテーマがよく出題される」といった具合に、過去問から分析を行うのです。
事前に作文問題の出題傾向をある程度予測しておくことで、試験当日の慣れない形式やテーマに慌てることはなくなります。
試験当日の作文の手順は?
試験当日となると誰でも緊張するはずです。
しかし、本番の流れをあらかじめ頭に入れておけば不測の事態を恐れて過度に緊張することもなくなるでしょう。
また、普段の練習が十分であれば「練習通りやればできる!」という自信が緊張をほぐすことにも繋がります。
手順1:問題が何を聞いてきているのかをはっきりさせる
「解答始め!」と言われすぐに書き始めるのは危険です!
まずはこの問題が何を聞いているのかをしっかり把握しておきましょう。
そうしなければ、これから書いていく解答が問題の主旨から外れたものになってしまうかもしれないからです。
そこでおすすめなのは、問題の問いかけ文に印をつけておくことです。
問いかけ文とは、「〜ですか。」「〜だと思いますか。」といった文末が疑問形になっている文のことです。
以下の例を見てみましょう。
日本には自然災害が多く、特に東日本大震災の際には多くの人々が被災し、その後の避難生活では長期間にわたってさまざまな制約が必要となりました。もし今後、同規模の災害が生じ、長期間にわたる避難生活をすることになった場合、十歳の子ども達に体験、または経験してほしいとあなたが考えることは何ですか。また、あなたが具体的にどのような工夫をすることで、それは実現できるでしょうか。百四十字以内で書きなさい。[慶應義塾湘南藤沢中等部, 2021]
特に私立中学校の作文問題では問題の内容が特殊であるためか、問題文自体が長くなることが多いようです。
なので、このように問いかけの文に下線といった印をつけておくことで、この問題文が受験生に何を答えて欲しいのかということが非常に明確になります。
手順2:作文の構図を考える
「問題が何を聞いてきているのかがわかった」「じゃあ書き始めよう!」と思うかもしれませんが、ここでも一旦ストップ!
書き始める前に、自分の考えをメモしていき、作文の構図を作っていきましょう。
構図と聞くとなんだか難しそうですが、実はとっても簡単です。
というのも、中学受験・受検(高校受験、大学受験でも同様)の作文の書き方で重要となる要素は、「主張(言いたいこと)」「根拠(その理由)」だけだからです。
では、より詳しく見ていきましょう。
非常に重要な「主張」
例えば「あなたが普段の生活の中で大切だと思っていることはなにか」という主旨の問題があったとします。
この問題に対する主張の例としては「家族とのコミュニケーション」「運動」「朝食」といったものがいくつか連想されるかと思いますが、実際に書くときには、問題に対しての自分なりの答えの提示は「1つ」だけで良いのです。
余程多い文字数を指定してくる中学校の問題では別ですが、主張は1つだけである方が解答の内容がブレにくく伝わりやすいものになります。
「根拠」は主張の理由
「根拠」についてですが、これは簡単にいってしまえば「なぜ、あなたはこの主張をするのか」の理由です。
この根拠はどんなものであっても良いのですが、特にオススメなのは実際の体験談によるものです。
「私が〇〇(主張)であると思うのは、△△という体験をしたからだ」というように自分の経験を根拠にすることで、評価の高いオリジナリティのある文章を作れると思います。
また、こうした経験談でなく、見聞きしたことであっても十分に根拠として用いることができます。
以上の「主張」と「根拠」を問題用紙の裏側などに軽くメモしておけば、あとはそれらを書いていくだけで合格点に達するレベルの文章を書くことができますよ!
手順3:作文の流れを考える
作文で重要なのは「型」です。
「型」を意識した書き方をしましょう。
「③まとめ」では、「だから、私は〇〇(主張)だと思う。」というように、「①主張」と同じ内容のことを書くだけで大丈夫です。
手順4:指定文字数の確認
文字数の上限のみが指定されている場合は、指定字数の8割程度を目指して書いていきましょう。
例えば、「400字以内」と指示された時はその8割である360字程度を書けば良いのです。
文字数が足りない場合は根拠を追加してみたりして、作文の文字数をうまく調整していきますが、解答用紙の余白部分に「ここまで根拠」などとメモをしておけば、最初から文字数を意識しながら書けますね。
手順5:普段通りに作文を書き始める
諸々の下準備が終わったところで、いよいよ文章を書いていくことになります。
ここで気をつけたいのは急いで書こうとせず、普段自分が文を書くペースで書いていくことです。
これによって、誤字や脱字といったミスで書き直すことが減り、結果的にミスを修正しながら急いで書くよりも早く文章を仕上げることができます。
以上のことを踏まえて、普段練習している通りに作文をしていけば納得のいく文章を書き上げることができるはずです。
普段の作文対策はどんなことをすればよいのか
日々の経験や思ったことをメモする習慣を
中学受験(受検)の作文で一番心配なことは「何を書けば良いかわからない」という状況に陥ってしまうことだと思います。
もしこんなことが受験当日なんかに起きてしまったら…なんて思うとゾッとしますよね。
そうならないためにも、日々の生活で得た学びをどんどんメモや日記に書いていくことがオススメです。
例えば、喧嘩していた友達と仲直りした時の状況や気持ち、ニュースで見た環境問題の現状といったことをメモして覚えておけば、作文で書くテーマがないなんてことにもなりにくいです。
また、ここでのポイントは、こうしたメモ書きもちゃんと文章で書いておくということです。
文章を書くことで、文章力も鍛えていくことができますよね!
この「日々の経験や思ったことをメモする癖」は、さまざまなテーマの文章が書けるようになると同時に、文章の書き方そのものに慣れることができるのでまさに一石二鳥なのです。
問題集と過去問で作文トレーニング
一切作文を書いたことのないまま、中学受験(受検)の当日にぶっつけ本番でいくのは無謀です。
試験当日までは、どんどん作文の問題にチャレンジしていき、文字を書くスピードや試験の時間感覚を身につけましょう。
問題集や参考書は多種多様なテーマの作文問題が掲載されており、「作文の書き方に慣れる」「さまざまなテーマの問題に対処できるようになる」という点でオススメです。
また、解答例も掲載されているので、書いた作文を添削する時にも非常に参考になります。
過去問ではその中学校で出題される作文問題の傾向を把握することが可能です。
「この中学校では時事的な問題が多く出る」「賛成か反対を問う問題が多く出ると」いったように、中学によって作文問題で問われるテーマの傾向は実に千差万別です。
そのため、過去問は「その中学の対策をピンポイントでできる」また、「その中学の試験を想定した練習ができる」という点でオススメです。
問題集と過去問を上手に使っていくことで、作文の書き方に慣れることができる上、試験本番を想定した作文トレーニングができるのです。
通信講座を利用する
中学受験(受検)を控えているお子さんがいて「作文を独学でやらせていくのはやっぱり心配」「そもそも作文はこの書き方で合っているのか?」とお考えの保護者さんも多いのではないでしょうか。
やはり、たとえ制限時間内に文章を書くことができたとしても、それを誰かが採点・添削しなければ、ただ文章を書いておしまいとなってしまいます。
そこでオススメなのは、中学受験(受検)の作文に特化した通信講座です。
通信講座では、その道のプロがお子さんの書いた作文を採点し、添削をしてくれるので、非常に安心です。
もちろん、作文の書き方すらわからないという方にも、通信講座では初歩的な作文の書き方からプロがしっかり教えてくれるのでオススメです。
有名なところでは、ブンブンどりむやZ会ですね。
以下の記事を参照にしてみてください。
最後に
本日は、現役の家庭教師のハル助さんに中学受験(受検)の作文の書き方についてお話してもらいました。
当日の流れを把握することで、事前に何をしなければならないのかが明確になったかと思います。
ただ、作文嫌いの子に作文の書き方の練習をしてもらうのは大変です。
作文嫌いのわが子の場合は、親が「これ、いいな」と感じたブログをプリントアウトして一緒に読みました。
もし「作文やだ!!!」と拒否をするお子さんがいたら、このブログを一緒に読んでもらうと事前の練習の必要性を理解してもらえるかもしれません^^