中学受験(受検)は、親の受験とも言われます。
親が熱くなりすぎてしまった結果、
・中学受験で教育虐待
・希望校に合格した後に不登校
こんなことになるのは絶対に避けたいですよね・・・。
受験前でであっても子どもに対する親の態度や声かけの内容次第では、子どもは実力を発揮できなく失敗してしまうこともあります。
そして、何よりも子どもが大人になってからの精神状態にも影響を与えますので、親側の声かけの失敗もなるべく少なくしたいですよね・・・。
ということで、本日は、臨床心理士でありママさんでもあるハズクさんに、中学受験(受検)での小学生の心理状態や気を付けなければならない声かけなどをおしえていただきました。
りん
模擬試験での失敗、志望校からの不合格通知など状況別の声かけを記載していますので参考にしてください!
目次
中学受験(受検)の頃の小学生の心理状態
臨床心理士のハズクです。
これから、中学受験(受検)を迎える時期のお子さんの心理状態と失敗したときの心のケアについて、心理職の視点からお伝えしたいと思います。
声かけのしかたを中心に紹介しますので、お子さんをサポートする際のひとつのヒントとしてご覧ください。
まずは、中学受験(受検)の時期の小学生の心理状態を説明します。
親からの心の自立がはじまる時期
本格的に中学受験(受検)に備えはじめる小学校5年生や6年生の子どもたち。
この時期の子どもたちは、思春期にさしかかります。
思春期は親からの心理的な自立がはじまる時期といわれ、子どもたちには親とは違う独自の思いがめばえはじめます。
とはいえ子どもの自立心はめばえたばかりで、まだまだ依存もしたい時期。
親から自立したい気持ちと親に依存したい気持ちの間で、子どもの心は不安定になります。
親にも影響されやすい
不安定な心をかかえるこの時期の中学受験(受検)は、子どもにとってはたいへんな仕事です。
中学受験(受検)をうまく乗りきれないと、子どもに心の傷が残ることもあります。
大好きな親の期待に応えられなかった自分自身を愛せなくなったり、大学受験(受検)や就職において、また、就職してからも「今度は失敗できない」とプレッシャーを背負いすぎたり……。
こうした子どもの感じ方に大きく影響するのが、親の対応です。
とくに、中学受験(受検)で失敗を経験した時のかかわり方は重要です。
親がどのように感じてどのように対応したかで、子どもの感じ方を大きく左右するからです。
親の声かけが中学受験(受検)の失敗の傷を深めることもあれば、中学受験(受検)での失敗をバネにして成長する力を支えることもあるのです。
Q:中学受験の模擬試験の点数が悪かったときの声かけは?
子どもの中学受験(受検)を支えるためには、日々の声かけもとても大切です。
ここでは模擬試験の点数が思わしくなかったときのNGな声かけと、良い声かけのポイントをお伝えします。
NGな声かけ:叱る・責める
模擬試験の点数が思わしくないことを単に「失敗」「悪いこと」と、とらえて叱ったり責めたりするのは、望ましい声かけとはいえないでしょう。
結果だけを見て
「点数が悪い」と叱る
「頑張りが足りない」
「怠けていたからだ」と気持ちの問題にして責める
このような声かけは、中学受験(受検)に向かう子どもの意欲をなくしてしまいかねません。
良い声かけ① 気づきや成長を共有する
模擬試験は、「今の状態をとらえて中学受験(受検)に向けた学習の指針を得るためのもの」です。
ただの失敗ととらえず、模擬試験から得られた気づきや成長を前向きに共有できると良いでしょう。
「まだやってない場所だからここの点は取れないよね」
「苦手がわかってよかったね」
「勉強のしかたを見直すきっかけになったね」
「疲れたね、少し休んでみようか」
といった声かけで、模試をきっかけにわかった今の状態を話し合ってみてもいいかもしれません。
また、いったん「点が悪い」「失敗」と感じると見落としがちですが、
「ここは前よりできるようになったね」
「ここはいつもよくできているね」
といった声かけで、できているところや成長したところに目を向けることも大切です。
模試の結果を前向きにとらえる声かけで、中学受験(受検)に向かう子どもの意欲を支えましょう。
良い声かけ② 話を聞く・気分転換をアシストする
本人が失敗した、と落ち込んでいるときはすぐに声をかけるのでなく、しばらく様子を見てから、話を聞いてあげると良いでしょう。
「できなかった」
「失敗した」
と話していたら、
「そうか、できなかったの」
「失敗したと思うんだ」
といった声かけでただ寄り添ってあげるだけでも、子どもの心は支えられます。
勉強疲れが出ている場合は、気分転換をさせてあげるのもひとつの手です。
・中学受験(受検)の話題から離れて楽しい話をする
・いっしょに遊ぶ
・本人の好きなことをじゅうぶんに楽しめる時間を作る
そんなふうに、心のバランスを整える時間も必要かもしれません。
心のバランスが整って余裕が出てくれば、中学受験(受検)へ向かう意欲も自然と戻ってくるでしょう。
りん
1日でも休むと焦ります。親が(^^;)
でもここは焦りをグっと抑えて、博物館などに行ってはいかがでしょうか?「ぼく、これ知ってる」→「へ~、すごいね。こんな勉強もしているんだよね。」というやり取りだけでも、うちの子はやる気がアップします^^
丸つけ、親がやるのか子どもにまかせるのか・・・。悩みどころです。
やる気が出る親の丸つけも実体験を元に紹介してみましたので参考にしてくださいね^^
他の中学校の受験(受検)を控えている中で不合格通知をもらった時の声かけは?
もし、他の中学校の受験(受検)を控える中で不合格通知をもらってしまったら……。
親子ともに、混乱したり、「また失敗するかも」と不安が高まったりするのは自然なことです。
ここではそんなときに注意したい声かけと、良い声かけのポイントをお伝えします。
まだ中学受験(受検)は続くため、子どもが立ち直れるような声かけが望ましいでしょう。
NGな声かけ:親の不安や怒りをぶつける
注意したいのは、子どもの失敗に対する親自身の不安や怒りを感情的に子どもにぶつける声かけです。
「落ち込んでいる場合じゃない」
「こんなんじゃ入れる学校がない」
このような声かけで親のネガティブな感情をぶつけるのは、それこそ失敗です。
子どもの不安はより高くなります。
不安定な気持ちで残りの試験に臨めば、本来出せるはずの力も発揮できなくさらに失敗してしまうかもしれません。
不合格通知に親が落胆したり不安や怒りが湧いたりするのは、子どもの中学受験(受検)を応援するからこそですよね。
お子さんのことを思っての熱心な証拠なのですが、その気持ちはできるだけコントロールできると良いでしょう。
誰かに相談する、趣味で気分転換するなど、自分なりの方法でかまいません。
子どもに直接ぶつける方法以外で、気持ちを整えるようにしましょう。
良い声かけ① 話を聞いて、気持ちを受け止める
本人のようすを見て声かけをして欲しそうであれば、気持ちを受け止めてあげられると良いでしょう。
「悔しかったね」
「残念だったね」
など、まずは本人のお話に寄り添ってあげる声かけをおすすめします。
立て直そうと声かけをしすぎるよりは、様子を見て寄り添ってあげるほうが、残りの中学受験(受検)に向けて、子どもは立ち直りやすいはずです。
良い声かけ② 何が助けになるかきいてみる
本人にとって何が助けになるか、聞いてみるのも良いでしょう。
「何かして欲しいことはある?」
「して欲しくないことはある?」
といった声かけです。
親には話しにくそうな場合で、他に信頼できる人がいるなら、
「○○先生と話してきたら?」
など、声かけで塾の先生との相談を後押ししてあげる方法もあります。
もしかしたら、放っておいた方が立ち直りの早いお子さんもいるかもしれませんので、そのあたりは普段からお子さんの性格を観察してあげて下さい。
残っている試験日に向けて、子どもの失敗を親の力で積極的に立て直すというよりは、本人が主体となって立ち直れるような声かけができると良いでしょう。
Q:志望校に全部落ちた時や第一志望に合格できなかった時の声かけは?
中学受験(受検)で志望校にすべて不合格だった時や、第一志望に合格できなかった時の失敗のダメージや落胆は、とくに大きいものです。
子どもを思うあまり、どう声かけをしていいかわからないかもしれませんね。
ここでは中学受験(受検)の振り返り方や親の態度といった点から、NGな声かけと良い声かけのポイントをお伝えします。
NGな声かけ:中学受験(受検)の経験や人格すべてを否定する
不合格という結果から、中学受験(受検)にまつわる経験のすべてを否定することは望ましくありません。
「せっかく頑張ったのに意味がなかったね」
「努力が水の泡だね」
といった声かけをされると、
「頑張っても無駄なんだ」
「自分はダメな人間なんだ」
と、子どもは人格そのものを否定されたように感じます。
中学受験(受検)の失敗というひとつのイベントが自分の価値を決めたように受け取ってしまうのです。
「失敗するダメな自分」というイメージは中学受験(受検)だけにとどまらず、その後の生き方にも影を落としかねません。
良い声かけ① 中学受験(受検)から得られた体験を共有する
志望校にすべて不合格でも、第一志望に合格できなくても、どのように中学受験(受検)を振り返るかは大切です。
失敗ばかりでなく、中学受験(受検)から得られた体験にも目を向けてみましょう。
「最後まで諦めなかったね」
「目標に向けて努力したね」
「あれが苦手だったけど、いろいろ試行錯誤して乗りこえたね」
といった声かけを通じて、得られた体験を一緒に振り返ってみましょう。
こうした経験は中学受験(受検)だけにとどまらず、その後の人生でも役立つ力になります。
これからの人生に生かされる要素を中学受験(受検)の経験から見出して、親子で共有できると良いでしょう。
良い声かけ② 動揺しすぎず、平然とかまえる
親の態度として大切なのは、志望校不合格の結果に動揺しすぎずに平然とかまえることです。
平然とかまえているフリでも、かまいません。
中学受験(受検)の失敗、志望校不合格、という大ダメージを前にしても親が平然としている姿を見ると、子どもの落ち込みや混乱は和らいでいきます。
声かけとしては、
「そういうこともあるよね」
「たかが中学受験(受検)じゃない」
「人生が決まるわけじゃない」
「(あっさりと)どんまい!」
といったものを参考にして下さい。
でも、親の落ち着いたようすが伝わるなら、言葉は何でも良んですよ^^
親の態度を見て、子どもは落ち着きを取り戻していけます。
それだけでなく、失敗があってもきっと大丈夫だ、と中学受験(受検)の先にある人生に希望を持てることもあるでしょう。
Q:不合格だった子どものお友達への声かけは?
子どものお友達の不合格通知を耳にしてしまうこともあるでしょう。
デリケートなことですから、当事者の前では話題に触れないのが一番かもしれません。
それでも、どうしても声かけが必要な状況になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
ここでは、そんなときの対応のヒントをお伝えします。
親→子どものお友達に声かけ:無理に励まさず本人の話を聞く
親が子どものお友達に声かけをすることは、めったにないことかもしれません。
お友達を傷つけ、声かけが失敗に終わる可能性も高いので、声かけには慎重になりたいところです。
それでも、どうしてもお友達の中学受験(受検)の結果に触れざるを得ないことがあるかもしれません。
本人やその親との会話で話題に出てしまったとき、などです。
そんなとき、励ましたくて、もしくは何を言っていいかわからなくて、
「頑張ってたね」
「大丈夫だよ」
などと口にしてしまうかもしれません。
ですが、こうした声かけは白々しく失敗になりがちです。
「あなたに何がわかるの?」
と受け取られかねません。
落ち込んでいる時はとくに、どんな言葉も被害的に感じやすいものです。
何かできるとすれば、本人が話すことを聞き、受け止める声かけです。
落ち込んだようすであれば「どうしたの?」
本人が話したことに「そうなんだ」「〜なんだね」
などとなるべく中立的に、評価をせずに、聞いてあげると良いでしょう。
「励ましてほしい」と言われたら、その時にはじめて励ましの声かけも響くようになるでしょう。
子どもがお友達に声かけするなら:子どもの言葉を引き出す
基本的に子ども同士のことは、子ども同士の関係にゆだねるのが良いでしょう。
たとえ声かけに失敗してケンカになったとしても、子ども同士の力でそれを扱っていくものです。
ただ、中学受験(受検)で不合格だったお友達の話題になり、子どもからこんな風に尋ねられることはあるかもしれません。
「友達が声かけてほしそうなんだけど、なんて声かけたらいいの?」
その時に、親としてどう答えるのが良いのでしょうか。
まずは、自分の子どもにお友達がどんな風に見えていたか、聞いてみると良いかもしれません。
そして子どもなりの感じ方が言葉になるように、話し合ってみましょう。
「がんばってた」
「今つらいと思う」
「元気になってほしい」
など子どもなりの、そして伝えるのにちょうど良い言葉が出てきたら、そのときに
「そう伝えてあげてみたら?」
と一言、声かけしてあげると良いかもしれません。
子ども自身の素直な言葉を引き出し、お友達に良い形で伝えられるように背中を押す声かけが良いと思いますよ。
中学受験(受検)の失敗は人生の失敗でありません
中学受験(受検)は人生のすべてを決めるものではなく、長い人生のうちのひとつのイベントです。
もしそれが失敗に終わっても、その体験はその後の人生に活かすことができます。
ここでは、中学受験(受検)での失敗体験を人生に活かすためのヒントをお伝えします。
失敗のない人生はあり得ない
中学受験(受検)には必ず、不合格のリスクがつきまといます。
不合格は失敗、と感じてしまうお子さんや保護者の方も多いことでしょう。
たしかに中学受験(受検)の不合格は失敗体験になるかもしれません。
でも、人生において失敗体験は避けて通れないことです。
中学受験(受検)を単なる「失敗体験」のままにしておくと、その後も似たような局面で過度の恐怖やプレッシャーを感じるおそれがあります。
「またあの失敗をするかもしれない」と失敗しそうな場面を避けるあまり、挑戦できなくなったり、人と関われなくなったりするかもしれません。
中学受験(受検)での失敗は、失敗のままにせず、その後の人生に活かすことが大切です。
中学受験(受検)にまつわる体験を人生に活かす
中学受験(受検)にまつわる体験を単なる失敗体験にしないために大事なこと。
それは、結果だけでなく過程も含めた中学受験(受検)にまつわる経験を全体としてとらえることです。
その過程のなかで、
・目標を立ててやり抜いたこと
・苦手に対策して克服したこと
・地道にコツコツ力をつけたこと
・継続できたこと
など、身についた力が絶対にあるはずです。
中学受験(受検)の失敗から立ち直っていく過程も、心の栄養になります。
・落ち込んで、つらく悔しい思いをしたこと
・親や友達が寄り添ってくれてあたたかい気持ちになったこと
・志望校とは違う進学先でも、新しい楽しみが見つかったこと
・中学受験(受検)は辛かったけど、やった意味があったと思えるようになったこと
こうした過程のすべてが価値ある体験です。
そこから、また同じような状況におかれても心折れずしなやかに、乗り越えていく力が培われるからです。
中学受験(受検)が失敗に終わっても、単なる失敗のままにせず、その後の人生に生きる体験として心に残すことが大切です。
最後に
本日は、臨床心理士でありママさんでもあるハズクさんに中学受験(受検)における声かけについてお聞きしました。
子どものためにと、これ以上失敗しないようにと、どうしてもきつくなってしまうことは誰にもあることです。
当然、私にもあります。
きつくあたってしまう時は、過酷だった出産時の「産まれてきてくれてありがとう」ことを思い出すようにしています。
先日、長らく小児がんで闘病していた知人のお子さんが天国に旅立ちました。
12歳でした。
お子さんにイライラすることもあるでしょう。
親も人間ですから仕方がないことです。
でも、「生きているだけでありがたい」と思うようにしませんか?
ただし、親側の無理は禁物です。
中学受験(受検)はデリケートな問題なので、ママ友達に相談できません。
そんなときは、カウンセラーに相談するのも手です。
今はネットで気軽に相談ができるので、考えてみてはいかがでしょうか?
不安を声に出して吐き出してスッキリすることも大切ですよ^^